当院での不妊症 治療について
当クリニックでは、体外受精はあくまでも「最終手段」と捉えています。
できるだけ自然な妊娠を目指します。
ただし、患者さんによっては、これまでの治療経過、年齢や不妊歴を考え、できるだけ速やかに、人工授精、体外受精へstep up治療を行う場合があります。
不妊症について
不妊症とは
妊娠を希望して1年以上赤ちゃんができない状態を不妊症と言います。
不妊治療の実際
不妊症には一度も妊娠しない場合、あるいは流産や出産を経たあとに次回の妊娠が出来ない場合があります。
当院では不妊症で受診された方には、かなり詳しい問診を行います。
その後不妊症に関する一般的な検査、専門的検査を行い、患者さん個別の不妊原因を診断します。不妊原因によっては高度な専門的治療を要する場合がありますが、ホルモン補充や排卵調節を行うことで解決することもあります。
難渋する不妊症への治療は、一般的にタイミング療法、人工授精、体外受精、顕微授精というstep upが行われますが、当院では患者さん個別の症状に応じて、ときにstep downを行うこともあります。
体外受精を行う場合、一般的にその妊娠率は20〜30%とされています。したがって、複数回の治療を行うことで妊娠の確率が高まることを理解してください。
ホルモン異常症
不妊症の原因として基礎体温表の高温期が継続しない状態、すなわち黄体機能不全がよくみられます。この場合は女性ホルモン剤であるエストロゲン、プロゲステロンを適宜補充することで、受精と着床の環境を改善します。
また、乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンが高いと、月経不順を起こします。この場合は抑制剤を使用します。
さらに、子宮内膜の増殖が弱い場合にはエストロゲンの補充を行います。
このように、患者さん個別に、妊娠成立に不利な状況がみられれば、ホルモン剤などの使用により、改善を試みることで妊娠を促します。
排卵誘発療法
最近とくに若い女性で、排卵の時期が一定せず月経周期が不順となっている方が多いように思われます。別項で記したPCOでは、排卵傷害のために妊娠ができない場合があります。
当院では、クロミフェン療法、hMG-hCG療法により、排卵を誘発して妊娠を促します。
排卵誘発剤では、多胎の可能性を助長しますので、薬剤の使用には特に気をつけてモニタリングしていきます。
タイミング療法
排卵の時期を確定する超音波検査併用
妊娠を希望されている多くの方は、基礎体温表をつけ、排卵を予測する検査キットを使用し、妊娠への試みをされていると思います。
当院では、超音波検査を併用して、排卵の時期を確定し、より確率を高めるよう補助します。
特に排卵が一定しない不順な方には有効です。
人工授精法
タイミング療法では妊娠しない場合、また精子要因が考えられる場合、男性の勃起、性交障害の場合などに、精子を子宮内腔に注入する人工授精法を行います。
この場合、女性側の卵胞発育をモニタリングし、排卵を調節しますので、タイミングとして最も妊娠に適切な時期に行うことができます。
また、精子は基本的に必ず調整し、精子数と運動率により、分離法もしくはswim up法で洗浄回収して用いますので有効性を高めます。
体外受精法
卵管因子のように物理的に自然妊娠が困難な場合、精子要因で自然妊娠が困難な場合など、難渋する不妊症に対しては、体外受精を行います。
体外受精の実際
体外受精では、自然排卵周期で採卵する場合もありますが、一般に前の月経周期からホルモン調節を行い排卵を抑制しつつ排卵誘発剤を使用します。したがって、体外受精を行うことを決めた後、いくらかの準備期間が必要となります。
- 排卵抑制は点鼻薬を用いる場合、使用期間は患者さんの状態によって決定します。(long法 short法 ultra-short法)
また、自然周期法や低刺激法にアンタゴニストを使用する方法もあります。 - 排卵誘発は、クロミッド内服もしくはhMG製剤の注射を使用しますが、使用量と期間、注射薬については患者さんの状態で異なります。
- 排卵誘発法
排卵誘発剤の注射を使用し、複数の受精卵を得ることを目標にします。 - 特徴
- グレードの良い受精卵を選択して移植できます。
- 胚盤胞に到達する受精卵を得る可能性が高まります。
- 余剰卵を凍結保存できる可能性が高まります。
- 採卵手術の回数を減らし、身体と経済的な負担を減らします。
- 卵巣過剰刺激症候群の副作用があります。
- 採卵回数が増えると、獲得できる卵子の質が悪くなる懸念があります。
- 卵巣低刺激法
排卵誘発剤の飲み薬(クロミッド)を中心に少しの注射を使用します。卵巣への負担を減らし1〜2個の採卵を目指します。 - 特徴
- 卵巣への負担が減り複数回の採卵が可能です。
- 次回妊娠希望時に良い卵巣機能が温存され採卵に臨める傾向があります。
- 排卵誘発の際に、受診回数が少なく通院の負担が減ります。
- 卵巣過剰刺激症候群が起こりにくいです。
- 採卵数が少なく、移植に適する受精卵が得られない場合(キャンセル)が増えます。
- 余剰卵による凍結胚が得られず、妊娠しない場合は再度の採卵からやり直します。
- 採卵回数が増えるため採卵手術への心身および経済的負担は増します。
- 排卵誘発法
- 卵胞発育が十分で採卵を決めた段階で、夕方〜夜間にhCG製剤を注射し、翌々日の朝に採卵します。同日、精子を持参もしくは院内で採精し、受精を試みます。治療の経過によって、あるいは精子の状態によって、顕微授精を行います。
- 培養は、通常2日間としますが、受精卵の状態や治療経過により胚盤胞まで培養を続ける場合があります。
- アシステッドハッチングは、受精卵の状態や治療経過により行います。
- 胚移植は、3日目に行います。学会指針では移植は35歳未満の初回、2回目は1個まで、それ以外は2個までとされています。
胚の状態など個別に判断します。二段階胚移植を行う場合もあります。 - 受精卵凍結は、余剰胚が生じた場合に行います。
顕微授精法
顕微授精法とは
前述の体外受精法では受精卵が獲得できない場合に行います。
卵と精子を1対1で強制的に受精させる、まさしく究極の方法です。
適応としては、乏精子症、精子運動障害、抗精子抗体陽性、体外受精では受精卵が獲得できない症例、などがあります。
男性不妊
男性が無精子症、乏精子症の場合、ホルモン検査ののち性腺刺激ホルモン注射による治療を行う場合があります。
この地域には男性不妊専門医が不在ですので、当院で治療まで対応しています。
不妊カウンセリング
赤ちゃんを望まれてもなかなか出来ないとき、いろいろな悩みがあるものです。
日常の診療では十分に聞けないこと、些細なことでも、お話することで気が楽になるものです。
- これからの治療のこと
- 体外受精を詳しく知りたい
- 夫婦での意見が合わない
- ちょっと治療を休みたい
さまざまな悩みや不安に、女性カウンセラーが親身に相談にあたります。
また、これとは別に、医師による治療経過と体外受精の説明、相談、カウンセリングも行っています。
神奈川県特定不妊治療助成金について
湘南レディースクリニックで体外受精を行う方は公的助成を受けられる場合があります。
助成額は1年度に2回まで、1回10万円です。
年収制限など詳細につきましては体外受精の説明の際にお話します。
藤沢市、茅ヶ崎市、厚木市在住の方;藤沢市の方はさらに10万円を2回、茅ヶ崎、厚木の方は1回受け取ることができます。
体外受精の治療費が御心配の方
―高額な治療費で赤ちゃんを諦めないために―
湘南レディースクリニックでの治療費は、神奈川県内の標準的な水準に設定しています。
(神奈川県は都内より幾らか低めです)それでも治療費は高額ですので、当クリニック独自の方法により、負担を最小限にとどめて治療することができます。
詳細は体外受精の説明の際にお話します。



体外受精の成功不成功は、質(グレード)の良い受精卵を獲得できるか否かで決まります。
湘南レディースクリニックでは画一的な治療は行いません。患者さんの状態をしっかりと把握し、年齢、卵巣機能、治療経過などを考慮して特性に応じた最適な方法を選択しています。さらに経済的な観点も考慮して治療を工夫していくことができます。